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ガン免疫療法

朝日新聞2015-1-25

ガン免疫療法に評価指針


がん免疫療法の開発促進 臨床試験、
有効性評価へ手引案 三重大の検討委

がん免疫療法に評価指針
 免疫の力を利用してがんを攻撃する免疫療法の開発を進めようと、専門家による検討委員会が臨床試験(治験)の手引案をまとめた。 免疫療法は腫瘍(しゅよう)が小さくならなくても生存期間が延びる場合があるなど、その特性に合わせた有効性や安全性の評価の指針を示した。
 厚生労働省はこの手引案をもとに国の指針をつくり、実用化を促す。

 免疫療法は手術、抗がん剤、放射線に次ぐ第4の治療法として期待されている。 免疫細胞を注入する治療法や、がん細胞特有の目印を利用するワクチン療法、免疫のブレーキを解除する治療法などが研究されている。

 しかし、がんを直接攻撃する抗がん剤とは作用が異なり、腫瘍がどれくらい縮小したかなどでみる従来の評価法では効果の判定が難しい場合がある。 また、免疫細胞が増殖して体内に長い間とどまることもあり、通常の薬とは副作用の出方が異なる可能性もある。

 効果を科学的に見極めるのが困難なため、国内で公的医療保険が適用されているのは、昨年発売された悪性黒色腫の治療薬しかない。
一方で、末期の患者らが、効果は不明なまま自由診療で高額な免疫療法を受けている実態がある。

検討委、実用化へ治験手引案
 厚労省の補助を受けた三重大が、免疫療法や統計学など内外の専門家からなる検討委員会(代表=珠玖〈しく〉洋・三重大教授)を設置。 医薬品医療機器総合機構とも協力し、治験の考え方を示す手引案をまとめた。

 手引案では、注入した免疫細胞が長期間働くことで起きる副作用の可能性に注意する
▽効果が出るのに時間がかかる場合があり、こうした特性を踏まえた評価法の作成を検討する
▽腫瘍の縮小だけでなく生存期間の延長による評価も検討することなどを示した。

 昨年11月に医薬品医療機器法が施行され、ヒトの細胞を加工した医薬品が早期に承認できる仕組みが導入された。

 免疫療法用の指針が完成すれば治験の計画が立てやすくなり、より早く開発が進む可能性がある。
 珠玖教授は「新しい分野のため、慎重に進める必要がある。 一方で産官学が協力して一日も早く効果的な免疫療法を患者に届けたい」と話す。


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